韓国語の初級文法で重要な項目である否定形。否定形をマスターすると一気に会話の幅が広がり、韓国語の勉強もさらに楽しくなりますよね。ただし韓国語の否定形は2種類あったり、使用する際に注意するべきことがいくつかあります。
また話す相手によって言葉遣いを変えることは韓国語においてとても重要なので、否定形の尊敬語やパンマル(タメ口)もぜひ覚えておきたいところです。
そこで今回は、韓国在住9年の筆者が否定形の基本的な文法知識から、使いこなすために押さえておくべきポイントを、口語で一番多く使われる「요体」を主に使ってご紹介します。
韓国語の否定形表現!最初に覚えるべき基本文法!
1. 名詞の否定文は「이/가 아니에요」(イ/ガ アニエヨ、~ではありません)
まず最初は名詞の否定文から。名詞の否定文は「이/가 아니에요」(イ/ガ アニエヨ、~ではありません)です。前にくる名詞の最後の文字にパッチムがある場合は「이」(イ)、パッチムがない場合は「가」(ガ)をつけて後に「아니에요」(アニエヨ)とつけるだけです。
【例1】
이것은 당근이 아니에요.
イゴスン タングニ アニエヨ
これはにんじんではありません。
【例2】
이것은 사과가 아니에요.
(イゴスン サグァガ アニエヨ
これはりんごではありません。
名詞の否定文はそこまで難しくないと思います。また名詞の否定文の尊敬語、パンマル(タメ口)は以下の通りです。
【例:尊敬語】
이것은 당근이 아니세요.
イゴスン タングニ アニセヨ
これはにんじんではありません。
【例:パンマル】
이것은 사과가 아니야.
イゴスン サグァガ アニエヨ
これはりんごじゃないよ。
尊敬語の場合は「아니」(アニ)の後ろに「세요」(セヨ)を、パンマルの場合は「야(ヤ)」をつければOKです。
また、「아니야」(アニヤ)は単独で「違うよ」としてもよく使われるので耳にしたことがあると思います。
2. 動詞・形容詞の否定形は「안-」(アン-)と「-지 않다」(-ジ アンタ)の2種類!
つづいて動詞・形容詞の否定文です。動詞・形容詞の否定形は2種類あります。「안-」(アン-)と「-지 않다」(-ジ アンタ)です。
「안-」は動詞・形容詞の前に置くだけなので使いやすいでしょう。「-지 않다」は動詞・形容詞の語幹の後ろにつき、少し長めの否定文になります。
【例1】
저는 안 먹어요.
チョヌン アン モゴヨ
私は食べません。
【例2】
저는 먹지 않아요.
チョヌン モッチ アナヨ
私は食べません。
3. 不可能の表現「~できない」も「못-」(モッ-)と「-지 못하다」(-ジ モッタダ)の2種類
不可能の表現「~できない」も2種類あります。「못-」(モッ-)と「-지 못하다」(-ジ モッタダ)です。動詞・形容詞の否定形と接続の仕方は同じで「못-」は動詞の前に置くだけ、「-지 못하다」は動詞の語幹の後ろにつきます。
【例1】
저는 못 가요.
チョヌン モッ カヨ
私は行けません。
【例2】
저는 가지 못해요.
チョヌン カジ モッテヨ
私は行けません。
形容詞も「-지 못하다」をつけて表現することができます。
【例】
미나가 예쁘지 못해요.
ミナガ イェップジ モッテヨ
ミナは可愛くないです。
ただし「못+形容詞」の表現はできないので注意しましょう。
4. 하다動詞の場合は「안-」と「못-」を前に置けない!?
否定の表現を使う上で最も注意しなくてはならないこと、それは하다動詞(名詞+하다で構成される動詞)は「안-」「못-」を一番前に置いて使えないということです。
【間違いの例1】
×저는 안 공부해요.
チョヌン アン コンブヘヨ
私は勉強しません。
【間違いの例2】
×저는 못 수용해요.
チョヌン モッ スヨンヘヨ
私が水泳ができません。
ではどのように使うのかというと、名詞と하다の間に助詞の을、를(ウr、ルr/を)+「안-」「못-」をつけます。
【正しい例1】
저는 공부를 안 해요.
チョヌン コンブルr アネヨ
私は勉強をしません。
【正しい例2】
저는 수용을 못해요.
チョヌン スヨンウr モッテヨ
私が水泳ができません。)
「-지 않다」「-지 못하다」は他の動詞同様、語幹の後ろにつけて使うことができます。
5. 尊敬語にしたい時は「-(으)시다」をつけるだけでOK!
動詞・形容詞の否定形、不可能の表現を尊敬語にしたい時は語幹に「-(으)시다」をつけるだけです。
【例1】
어머님은 안 가세요.
オモニムン アン カセヨ
お母様は行かれません。
【例2】
어머님은 가지 않으세요.
オモニムン カジ アヌセヨ
お母様は行かれません。
【例3】
어머님은 못 가세요.
オモニムン モッ カセヨ
お母様は行けません。
【例4】
어머님은 가지 못하세요.
オモニムン カジ モッタセヨ
お母様は行けません。
少しくどくはなりますが、主語がかなり目上の人の場合「-지 않다」「-지 못하다」なら以下のようにも使えます。
【例1】
교수님은 가시지 않으세요.
キョスニムン カシジ アヌセヨ
教授は行かれません。
【例2】
교수님은 가시지 못하세요.
キョスニムン カシジ モッタセヨ
教授は行かれません。
なお、尊敬語については以下の記事で詳しくまとめていますので、こちらも合わせて読んでおきましょう。
6. パンマルは「-요」(-ヨ)をとればいいだけ!
友人などにパンマルで話したい時は「-요 / -ヨ」を取るだけでいいのですぐに実践できます!
【例1】
나는 안 가.
ナヌン アン ガ
私は行かない。
【例2】
나는 가지 못해.
ナヌン カジ モッテ
私は行けない。
とっても簡単ですよね!ちなみに、タメ口を使う時の一人称は「저」(チョ/わたくし)ではなく「나」(ナ/わたし)を使うようにしましょう。
7. 「안-」「못-」と「-지 않다」「-지 못하다」、ニュアンスの違い
否定形には2種類の表現があると説明しましたが、実はそれぞれ少し違いがあります。
まずはニュアンス(否定の度合い)の違いについてです。基本的に同じ意味で使われますが、「-지 않다」「-지 못하다」より「안-」「못-」の方が否定の度合いが強い場面があります。
【例1】
저는 안 먹어요.
チョヌン アン モゴヨ
私は食べません。←強い否定
【例2】
저는 먹지 않아요.
チョヌン モッチ アナヨ
私は食べません。←柔らかい否定
必ずしもではありませんが強く否定す場合は「안-」「못-」を使うことがほとんどです。
8. 「안-」「못-」と「-지 않다」「-지 못하다」、使用場面の違い
また使用場面においても違いがあります。
会話(口語)においては「안-」「못-」の方がよく使われます。というのもできるだけ短い表現で、効率よく自分の意思を伝えるという傾向にあるからです。
上記通り必ずしも強い否定で使っているとは限らないので、前後の文脈や相手の口調・表現等からも判断するようにしましょう。
また、「-지 않다」「-지 못하다」はフォーマルな場面や文語において使うことが多いです。知っておくと便利でしょう。
まとめ
いかがでしたか?
否定形は하다動詞さえ注意してマスターすればさほど難しくありません。例文を自らたくさん作ってそれを覚えるぐらい勉強すればすぐ身につけることができると思います。
基本的な形を習得できたら、ぜひ尊敬語やパンマルにも挑戦してみてくださいね!
韓国語の否定形表現!最初に覚えるべき基本文法!
1. 名詞の否定文は「이/가 아니에요」(イ/ガ アニエヨ、~ではありません)
2. 動詞・形容詞の否定形は「안-」(アン-)と「-지 않다」(-ジ アンタ)の2種類!
3. 不可能の表現「~できない」も「못-」(モッ-)と「-지 못하다」(-ジ モッタダ)の2種類
4. 하다動詞の場合は「안-」と「못-」を前に置けない!?
5. 尊敬語にしたい時は「-(으)시다」をつけるだけでOK!
6. パンマルは「-요」(-ヨ)をとればいいだけ!
7. 「안-」「못-」と「-지 않다」「-지 못하다」、ニュアンスの違い
8. 「안-」「못-」と「-지 않다」「-지 못하다」、使用場面の違い